代々木果迢会のお能 @代々木能舞台
2015/09/19
9月18日金曜日
初台駅にある能舞台 代々木能舞台に行ってきました
初台駅といえばオペラシティーや新国立劇場。そんな未来都市のような建物ばかりをイメージしていましたが、能舞台もあるのですね〜初めて伺いました。
え??ここ??ってくらい住宅とオフィスが密集しているところにあります。劇場ではなく、
個人のお屋敷の中にあるお舞台!昭和26年からあるんだそうです。脇正面席の部分が芝のお庭になっていてそこはお屋根がありません。(脇正面のお席はありません)
なので外の風がそのまま入ってきます。夜は空の色とお舞台とのコントラストがとっても美しく、非常に趣きのあるお舞台でした。
そんなお舞台で代々木果迢会の舞いを拝見してきました。
ここのお屋敷の当主になる方ですね!!
お能に出てくる杖ではなくホンモノの杖で橋掛りからゆーーーくりお出ましになられましてお正座ではなく鬘桶におかけになって、
旅の衣はーーと
安宅を謡われていましたが、、たた 大正14年生まれ!!101歳!?!
途中で一度言葉が詰まり後見に助けていただいてはおりましたが、あとは行き帰りも全部ご自分でなさって本当に驚きます。能楽師は長生きな人が多く生涯現役と言いますが、紋付袴だけで、もう装束や面をつけなくても神の佇まいでした。大尊敬します!!すごい、、
そうして仕舞いが二つあり
砧へ。
お能のストーリーって私の知る限りでは、超シンプルでだいたいうちの子供と行っても、ストーリーを説明するのは割りとラク。幼稚園の頃でもお話は理解できます。
が セリフはなんと言っているのかは、私は未だに聞き取れないも部分が多すぎ!きちんと謡をお勉強したいなといつも思うのですが。。
砧のストーリーを全部細く書くとながーーくなりすぎますのでこちらでどうぞ
夫婦のお話し
夫が都へ仕事で行ってずっと帰ってこない。
そこに夫の使者の女御がきますが、解釈によってはこのお二人はタダならぬ関係のお二人
その女性が妻のところへきて、旦那さんは帰ってこないよと言うんですもの。設定がまずすごい。
でも悲しそうに言って一緒に嘆くんですが、、
その本心はどうなんでしょうか。
使者の女の面はとても美しく、ふっくらして居て、幸せオーラを出しているように見える反面、
妻の面はとても美しいのですが疲れ果てた女性の顔。このコントラストがとても怖い前シテでした。
使者の顔がたまに悪魔の微笑みのように見えた私です。。
それで、昔の言い伝えを信じてキヌタという棒を叩くシーンが美しいのですがやっぱり怖い!
帰ってくる事を祈る妻と、後ろで祈るも本心は、帰るわけないじゃないの。と思っていそうな使者の女。(解釈には多々あるのだそうです。使者もいい女という解釈も)
それで妻はとうとう死んでしまうんですもの!
で後半は妻の幽霊が夫に向かって、あなたのせいで成仏出来ない!!という部分!
道成寺のように般若になるわけでもなく非常に衰弱した真っ白な女の面 夢に出てきそうな怖さでした
いっそ鬼になって暴れ狂ったほうが成仏できそうなのに、、完全に夫を敵に出来ない部分があるのでしょうか?愛があるんですね、、、それゆえの怖さ。
角度によって表情が変わりますが、物凄い情念を感じたり 哀れさを感じたり、面である事を忘れてしまう後シテでした
いやー芸術だ!!と思いました!!
多くを語らずにあの感情を表すって、、。おシテ方素晴らしい。。
繊細な感情一つ一つ自分のものにしてアウトプット出来るまでには、、
経験全て芸の肥やしなんでしょうね。。といろんな意味で思いました。
お客さんに合わせてなんでもあり。
になりつつある芸術文化も多いですが、
お客がその芸能にレベルを合わせる芸術。
も絶対に必要ではないかと思います。
なんでも分かりやすさだけを求めたり、品格を無理に落としたりしてお客様に振り向いてもらうだけでは、いつか終わってしまいますね。
その芸能のもつアイデンティティーはしっかり守るべきでもありますね〜
芸術を扱う人間の一人として、いつも舞台からではなくお客の立場になる事も必要だし、
芸術そのもののお勉強だけではなく、興業をどうするべきかという事も常々お勉強したいものだわ。と思った夜でした。
⭐️一緒に行ったうちの子の感想⭐️
あれ お母さんだったら本当怖いわ。でも、お母さんなら完全に蛇になって焼き殺すでしょ。と(道成寺が頭にあるのね)直球な感想でした コワ。
素敵なお舞台でした。実はご招待券をいただいて伺ったのでした。ありがとうございます。
代々木能舞台 さんから出た所を写した写真